さまざまな人間模様

私が初めてキャバ嬢として働いた街は歌舞伎町でした。
18歳で好奇心旺盛な私は夜の世界に怖いという意識はなく、むしろわくわくしていました。
田舎から出てきた私はそのお店の寮に入る事になり、店長にドンキホーテで布団を買ってもらい、歌舞伎町から徒歩15分程のマンションに住む事になりました。
正直綺麗なマンションとは言えなかったけれど、それでも明日からキャバクラで働けるんだって楽しみで特に不満は持ちませんでした。
しかし私の思い描いていたのとは違いました。今思うとそのお店はランク的に大衆店でした。料金も安めに設定していたのか、客層も酷いものでした。
お会計を済ませたお客様をお店の外に送り出す時、無理やり胸を鷲掴みにされたり顔を掴まれてキスされた事や、アフターを断ると大声で怒鳴られたり脅された事もありました。
女の子同士の仲もとてもギスギスしていて、いじめもありました。そのキャバクラは更衣室が狭く、個人ロッカーがなかったのでみんなバッグを積み重ねていたのですが、何度も盗難騒ぎがありました。
お店に入ったばかりの頃、私も指輪を盗まれました。それからは、貴重品は絶対に持っていかないようにしました。
そんな環境の中でもなんとかそのお店でやっていけたのは、仲良かったRちゃんがいたからです。
同い年で、その子もお店の寮に入っていて地元もわりと近かったのですぐに仲良くなりました。お店が休みの日や、お店が始まる前や終わった後などにごはんを食べに行ったり買い物に行ったりして、そんな時は唯一そのお店で働いて良かったと思えた時でした。
しかし、お店が休みでカラオケに行った日の事でした。
個室に入ってすぐ、真剣な顔で「話を聞いてほしいの」とRちゃんは言います。
どうしたんだろうと思い、「うん、どうしたの?」と促すとRちゃんは某宗教に入っているんだと言いました。
それからはその宗教の素晴らしさをものすごい勢いで語りだし「あなたにも幸せになってほしいから」と、その宗教に勧誘されました。
とても驚いたし、ショックで言葉が出ませんでした。
その日は何とか誤魔化して帰宅しましたが、翌日からお店で顔を合わす度にひたすら勧誘され続け、何だか私はとても疲れてしまいそのお店を辞めました。
しばらくしつこくRちゃんから電話がきましたが、無視していたらそのうちかかってこなくなりました。
ちなみに働いていたお店はその後、16歳を働かせていたという事で警察に摘発され、潰れました。
今の私はしがない主婦ですが、今でもたまにあの頃の事を思い出します。